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クラシック音楽とジャズとオーディオと歴史映画のブログ [杉本良明]


by yoshisugimoto

『サルバドル/遥かなる日々』1986年

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『サルバドル/遥かなる日々』(さるばどる はるかなるひび、原題: Salvador)は、1986年制作のアメリカ合衆国の映画。オリバー・ストーン監督。米国人フォト・ジャーナリストのリチャード・ボイル(英語版)が、エルサルバドル内戦を取材した際の自らの実体験を描いた小説の映画化。

あらすじ
1980年、ジャーナリストのリチャード・ボイル(英語版)はアメリカのアパートで暮らしていたが、家賃の催促に追われる日々に嫌気が差した妻子に出て行かれてしまう。自暴自棄になり車を飛ばしていたボイルは、留置所に入れられてしまう。友人のロックDJのドクに保釈金を払わせ、売春と酒で釣られたドクと共に取材のためエルサルバドルに向かう。

現地は右派の政府軍と左派の反政府ゲリラによって内乱が起こっており、多くの死者・行方不明者を出していた。国境でボイルらは早速、政府軍に拘束されるが、すぐに解放され、ボイルは戦場カメラマンのジョンら旧友、そして愛人マリアとの再会を、ドクは売春宿に入り浸り呑んだくれるなど現地を満喫するが、政府軍のマックス少佐(“ボブ”少佐と呼ばれたロベルト・ダビュイソン(英語版)がモデル)率いる勢力は、政敵であるカトリック教会のロメロ大司教を暗殺。さらにはボランティアのシスターらを敵の家族を助けているとし、部下に命じて強姦・殺害させる。マリアの弟も、何者かに惨殺されてしまう。ボイルは真実を追う決意をする。(以上Wikipedia)

エルサルバドル内戦
1980年に始まった左派ゲリラ(ファラブンド=マルティ民族解放戦線/FMLN)の蜂起は山岳地帯を中心にたちまち拡大し、「九時から五時までの軍隊」と呼ばれてサラリーマン化していた政府軍は戦意に乏しく、追い詰められていった。その状況を危惧したアメリカ大統領レーガンは、政府軍に軍事顧問団を送り、軍事・経済支援を開始した。アメリカ軍はベトナム戦争の手法を再現し、ゲリラと農民を分離するために鉄条網で「戦略村」を設けていった。それに対して左派ゲリラは、ニカラグアのサンディニスタ民族解放戦線からの支援を受けて戦い、内戦は泥沼化していった。
その間、米軍とCIAと結んだ極右勢力の国家警備隊トップのダビッソンが勢力を拡大し「死の部隊」と言われたテロ組織を結成、労働組合や左派指導者、残虐行為を非難したカトリックの大司教らを殺害していった。当時は首都サンサルバドルには殺された反政府側の死体が町に放置され、悲惨な状態であった。国際的な非難を浴びたダビッソンは合法政党として民族主義協和同盟(ARENA)を設立した。<伊藤千尋『反米大陸』2007 集英社新書 p.141-144>

国民の弾圧・殺戮は右派政府軍も左派反政府ゲリラも同じように行う。当時はベトナムが共産化し、同じく共産化したカンボジアで虐殺が行われた時代だ。当然、米国は右派政府軍を支援する。結果、米国の支援で罪のない国民が虐殺された。これがエルサルバドル内戦の実態だ。内戦とは要は権力闘争で、英・米・仏のような市民革命ではない。右派・左派どちらが勝ち残ろうとも、恐怖政治を敷く独裁政権ができてしまう。

映画では主人公の現地妻が米国に入国できなかった。それはそれで仕方がない。バイデン政権のように不正入国を認めてしまうと、米国でも連邦政府とテキサス州政府が対立する事態が起きている。すべてが仕方ないのだが、有効な解決策はなく、嘆息するしかない。

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by yoshisugimoto | 2024-03-04 15:59 | 映画 | Comments(0)