『キング・オブ・キングス』1961年
2023年 12月 25日
『キング・オブ・キングス』(原題:King of Kings)は、1961年制作のアメリカ合衆国の映画。
イエス・キリストの生涯を描いた作品。セシル・B・デミル監督が1927年に制作した同名映画をニコラス・レイ監督がリメイクしたものと言われているが、ベルナール・エイゼンシュッツの『ニコラス・レイ‥ある反逆者の肖像』(吉村和明:訳)によれば、そもそもこの作品のアイデアとスクリプトは、プロデューサーのサミュエル・ブロンストンの前作『大海戦史』(1959年)を監督したジョン・ファロー(ミア・ファローの父)のものだったが、使えるレベルではなかったので、ニコラス・レイが旧知のフィリップ・ヨーダンを呼び、手直しさせたものであった。
題名もファロウの時は『人の子』、レイと契約するときは『剣と十字架』であった。これをヨーダンが『キング・オブ・キングス』とすることを提案した。当然デミル側から許諾を受けるという動きもあって、配給の10パーセントを提示する案もあったが、試しにアメリカ映画協会にタイトルを登録してみると、デミル側は未登録であったため、ブロンストン側は印紙代6セントでこの題名を手に入れたという。
(以上Wikipedia)
内容的には『十戒』や『ベン・ハー』に準じる。描き方も自然でわかりやすい。音楽も『ベン・ハー』と同じミクロシュ・ロージャだ。しかし、『ベン・ハー』みたいにメジャーな映画ではない。想像するに主演がイエスで宗教映画であることと、ジェフリー・ハンターという若手俳優を起用したことが理由ではないかと思う。イエスの配役にすでにキャラの立った大スターは使えない。ジェフリー・ハンターは二枚目ではあるが線が細く、若くして夭折している。とはいえ十分な秀作ではあると思う。
描き方が丁寧なので、ローマ総督ピラトとヘロデ王・サロメの関係性もよく理解できた。イエスのころはまだユダヤ神殿があった。エルサレムの2度の攻囲戦と2度のユダヤ戦争を経て神殿は破壊され、ユダヤ人が亡国の民になったというという事実も学ばせてもらった。ユダヤの民は信仰に忠実で、あくまでも抵抗するのである。
・エルサレム攻囲戦 (紀元前63年) - 共和政ローマのポンペイウスがハスモン朝ユダヤのエルサレムに対して行った攻城戦(ユダヤの属国化)
・エルサレム攻囲戦 (紀元前37年) - 共和政ローマのアントニウスの支援を受けたヘロデ大王による攻城戦(ハスモン朝滅亡)
・第1次ユダヤ戦争 (66~74年) - ティトウス帝によるエルサレムの侵略(神殿破壊)
・第2次ユダヤ戦争 (131~135年) - ハドリアヌス帝によるによるエルサレムの破壊(ディアスポラ開始)
第1次ユダヤ戦争で神殿は破壊され西壁のみが残った。これが「嘆きの壁」である。第2次ユダヤ戦争でエルサレムは炎上し、市街地にはユダヤ人はいっさいの立ち入りを禁止され、ユダヤ人の多くは地中海各地に離散(ディアスポラ)していくこととなった。
by yoshisugimoto
| 2023-12-25 17:21
| 映画
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