『アレクサンドル・ネフスキー』1938年
2023年 11月 27日

『アレクサンドル・ネフスキー』は、1938年に公開されたソビエト連邦の史劇(英語版)映画。13世紀、ノヴゴロド侵攻を企てた神聖ローマ帝国ドイツ騎士団(チュートン騎士団)を打ち破るアレクサンドル・ネフスキーを描く。監督・脚本はセルゲイ・エイゼンシュテイン。ニコライ・チェルカーソフが主演、セルゲイ・プロコフィエフが音楽を担当した。『アレクサンドル・ネフスキー』はエイゼンシュタインの3本あるトーキーの最初の作品で、また最も有名な作品である。(以上Wikipedia)
クラシック音楽ファンにはプロコフィエフの音楽でおなじみの映画だが、最近になるまでアレクサンドル・ネフスキーの時代背景を理解できていなかった。アレクサンドル・ネフスキーはロシア民族を救った救国の英雄とされている。しかしそれは、モンゴル軍からロシアを救ったのではなく、スウェーデンとドイツとの戦いで勝ったから。この人物は新たなロシアの権力者となるため、モンゴル人のキプチャク=ハン国に進んで臣従し、反モンゴル活動を弾圧した。アレクサンドル・ネフスキーはモンゴルの力でウラディミール大公となり、その子孫がモスクワ大公国に発展する。しかし、当時のソ連共産党当局はそれでは困る。あくまで救国の英雄でなければならない。それで共産圏特有のプロパガンダが鼻につく薄っぺらな映画に仕上がっている。13世紀には国民国家の概念がそもそもなく、ロシア発揚のセリフはウソ臭い。ロケも人数こそ多いが、単なるチャンバラだ。叩き切ったはずなのに血が全く出ていない。時代を感じる違和感だらけの映画だが、ドイツ騎士団の有りようが映画で観ることができたのは良かった(上、着色クリップ)。プロコフィエフが映画から抽出して作ったカンタータ(下)もこの映画を観るとよく理解できる。
by yoshisugimoto
| 2023-11-27 11:20
| 映画
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