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クラシック音楽とジャズとオーディオと歴史映画のブログ [杉本良明]


by yoshisugimoto

ウォルトンの『ベルシャザールの饗宴』

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『ベルシャザールの饗宴』(ベルシャザールのきょうえん)は、『旧約聖書』の一書「ダニエル書」の5章「壁に字をかく指」のエピソードである。数々の芸術作品のモチーフとなっている。

物語の概要
新バビロニア王ナボニドゥスの子ベルシャザルは、エルサレムの神殿(ソロモン神殿)を破壊し略奪してきた金銀の器を使用して、豪勢な酒宴を開いていたところ、突然人間の手があらわれ壁に謎の文字を書き残した。この文字は、多くの賢者が挑戦したが読み解けず、ダニエルが読み解いた。その文字は「メネ、メネ、テケル、ウパルシン(מנא מנא תקל ופרסין 英語:MENE, MENE, TEKEL, UPHARSIN)」であり、メネは「神があなたの治世を数えて、これをその終りに至らせた」、テケルは「あなたがはかりで量られて、その量の足りないことがあらわれたこと」、ペレスは「あなたの国が分かたれて、メデアとペルシャの人々に与えられること」と教えた。その夜、ベルシャザルは殺され、ダリヨスが王となった。(以上Wikipedia)
イギリスの作曲家ウィリアム・ウォルトンに『ベルシャザールの饗宴』という作品がある。バリトン独唱、混声合唱とオーケストラのためのカンタータで、イギリスでは最も人気のある合唱曲の一つ。PROMSの最終日に演奏されたこともある。しかし、この作品を理解するためには歴史的な知識が不可欠である。以前はWikipediaの解説を読んでもよくわからなかった。『旧約聖書』は『創世記』なんかもあり、何じゃ、神話かいなと思っていたわけだ。

紀元前586年、古代ユダ王国は新バビロニアに滅ぼされたうえに、ユダヤの民は新バビロニアに拉致された。これが有名なバビロン捕囚。半世紀後に新バビロニアは後アケメネス朝ペルシャに滅ぼされ、王キュロス2世は、捕らわれていた者たちがエルサレムに帰還して神殿を再建することを許す布告を出した。その後旧約聖書が編纂され、ユダヤ教が成立する。この史実を勉強したことで、『ベルシャザールの饗宴』も興味深く聴けることとなった。

ウォルトンは他に「ヘンリー5世」とか「リチャード3世」とかシェイクスピアの戯曲をもとにした作品もある。ちなみに「ヘンリー5世」は英仏百年戦争のときの英王で「リチャード3世」は英ばら戦争のときの英王である。そういうことをわからずとも音楽は楽しめるが、わかったほうがさらに楽しめるのは言うまでもない。

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レンブラントの『ベルシャザルの饗宴』

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by yoshisugimoto | 2023-06-05 00:42 | クラシック音楽CD | Comments(0)