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録音を聴く

クラシック音楽とジャズとオーディオと歴史映画のブログ [杉本良明]


by yoshisugimoto

自然界にはハイ上がりはない

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高音は距離を取って離れて聴くと空気の層で減衰する。つまりハイ落ちになるわけだ。これはホールで聴くとそうなっているのを確信する。決して眼前の演奏のように高音までフラットではない。ただハイ落ちにはなるが、CDのように20000Hz以上は再生しないのではなく、ロールオフしながらどこまでも伸びている。これが自然の音だ。

20cmフルレンジのように高域の不足しているユニットにツィーターで高域をプラスするのは何の問題もない。しかし、10cmフルレンジのように高域まで十分伸びているユニットにコンデンサー一発でツィーターを追加するのは要注意だ。得てしてハイ上がりになる。特にホーン・ツィーターでもともとのレベルが高いと、コンデンサーで追加する超高域から非可聴域にかけて6dBのカーブでハイ上がりの音になる。

「超高域から非可聴域にかけて6dBのカーブでハイ上がりの音」は解像力があるし、ツィーターをつけない場合と比較すればHiFi音として断然説得力がある。多くの人がツィーターで高域をプラスした音を是とするわけだ。

しかし、よくよく考えてみると自然界にこういうハイ上がりの音はない。HiFi音として説得力があっても不自然なのである。故長岡さんはスワンに決してスーパーツィーターを載せなかった。質問コーナーでは「通はトッピングを欲張らずネギだけのかけそばを食べますが、ま、そんな感じです」と書いておられたが、要はハイ上がりの音を是としなかったのだと想像する。

これが炭山さんになると小口径フルレンジでもツィーター追加は不可欠みたいな書き方をしている。耳の特性は個人毎に違うから、どちらにするかは好みの問題でいいと思うが、個人的には解像力は落ちてもハイ上がりにならないほうを選択する。こちらのほうが自然だからだ。ただし非可聴域ツィーター、KITHITのHIT-STFは使っている。繰り返すが「自然界にはハイ上がりはない」のだ。

ツィーターによるハイ上がりの問題は小口径フルレンジのみで発生する。メーカー製2ウェイはコイルでウーファー部の高音をカットしてクロスするのでハイ上がりにはならない。スピーカー自作記事を読むと、小口径フルレンジでも安易にツィーター追加を推奨しているし、コンデンサーの容量も実に適当だが、要注意である。正しくは隠し味的に使うべきで、加減のいいコンデンサー容量を決めるのは結構難しい。

ちなみに音工房Zで売っている廉価版のスーパーツィーターは1μFのコンデンサが付属しているが、我が家ではFE126NV(92dB)だと同タイプのツィーター(88dB)は0.33μFでバランスが取れる。効果が感じられないとクレームになるので、ずいぶんと大き目のコンデンサーがついていることを予め承知しておくべきだ。炭山さんの記事ではFE108NS(87dB)にT96A(96dB)を0.1μFで繋げているが、まぁそんなものだろう。

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by yoshisugimoto | 2023-01-02 09:12 | オーディオ | Comments(0)