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録音を聴く

クラシック音楽とジャズとオーディオと歴史映画のブログ [杉本良明]


by yoshisugimoto

「まずラジオやテレビの音を越えていただきたい」

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ジャズ喫茶ベイシーの菅原さんの本に、「まずラジオやテレビの音を越えていただきたい」という記述があった。たとえばタンノイのオートグラフはラジオやテレビの音を超えているのか。広い理想的な空間で音量を出せば超えたように聴こえる。しかし6畳間に押し込めて鳴らすなら超えないと思う。ボーカル帯域はコイルを通った重いウーファーから再生される。これはフルレンジ・スピーカー一発から出る音より断然劣るはずなのだ。辛辣に言えば大型高級スピーカーはたいていラジオやテレビの音を超えていない。音量でごまかしているだけだ。

市販のオーディオ・スピーカーは2ウェイが主流で、ボーカル帯域にクロスオーバーがあり、ウーファーにコイルが直列に入っている。この意味では、市販品には潜在的な問題があり、音量を出せなければラジオやテレビの音に敵わないということになるわけだ。

そんなわけで我が家のスピーカーは3組ともすべて小口径フルレンジになってしまった。何のことはないラジオ・テレビの音の延長上にあるだけだ。しかし、フルレンジは点音源で、クロスオーバーがなく、複数ユニットの音を空間合成するといった不自然なこともやっていない。一般家屋でラジオ・テレビの音を越えようと思えば、やっぱりフルレンジにならざるを得ない。長岡派の拠って立つ考え方の基本はコレだ。

それはそうなのだが分割振動というデメリットは常につきまとう。ここは真空管アンプで歪を持ったままうまく鳴らすのが、一番の正攻法だと思っている。マルチチャンネルアンプで複数ユニットの音を空間合成するとなると、コイルは追放できてもまた新たな問題が発生する。

ラジオ・テレビの音を越える、というのは初歩的かつ基本的にして、実に奥の深いテーマである。20世紀前半に造られたウェスタンの555ドライバーが未だに珍重されるのは、クロスオーバーが200Hz以下と低く取れ、ラジオ・テレビの音を確実に超えうるからである。現代オーディオにこういう商品はない。当方、オーディオを趣味として半世紀近くなるが、このテーマを半世紀かけて迂回してきたと言ってもいいぐらいなのだ。

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Commented by 杉ちゃん at 2022-12-19 17:57 x
寒くなって来ました。お変わりございませんか?
先週5回目のワクチン接種を受けました。With
Coronaと言うけれど年中行事みたいになりましたわ。
さて、ラジオ・TVを超える音はフルレンジ一発!、
なるほどです。
スワンとは方向が違いますがリブ補強した畳2畳ほど
の平面バッフルにロクハン1発が最高と言ってた
友人がおりましたわ(笑)
Commented by yoshisugimoto at 2022-12-20 20:43
当方も5回目完了です。タダですので(笑)もうこれで終わりでしょう。
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by yoshisugimoto | 2022-12-08 16:42 | オーディオ | Comments(2)