ゴロワノフの《悲愴》
2022年 09月 21日

チャイコフスキーの交響曲第6番《悲愴》を初めて聴いたのは、ムラヴィンスキー盤で中3の時のこと。以来およそ半世紀、いろいろな音源を入手し、何度か実演にも接してこの曲だけは隅々まで頭に入っている。ゴロワノフの演奏は初めて聴いたが、これはもう演歌を連想する。テンポを自在に動かして恣意的にタメをつくるのはストコフスキーの十八番だが、ゴロワノフに比べるとまだまだ序の口、というと分かっていただけるだろうか。
なら噴飯ものかというと、危険な魅力に満ちているというのが正直な感想だ。たとえば宇野功芳の演奏だったら、聴いて呆気にとられる(呆れる?)箇所が多々あるが、ゴロワノフは自己の感性に忠実に信念でやっているという感じがある。もはや正統派の演奏では頭を素通りしてしまうので、こんな演奏ならまた聴きたいと思うわけだ。とにかく今ではオケのメンバーも聴衆もこんな演奏を許さないだろう。1948年の録音だが、意外に良好で、真空管アンプでいい味が出る。
by yoshisugimoto
| 2022-09-21 06:54
| クラシック音楽CD
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