ワルターのウィーン・フェアウェル・コンサート
2022年 08月 29日

マーラー生誕百年記念の1960年、ウィーンで祝賀コンサートが開催され、ブルーノ・ワルターが招かれて里帰りしている。結果としてワルターのウィーンでの最後の演奏会となった。この公演は録音が遺っていて、何度か再発されている。昔出ていたAADのワルター協会盤(下右)が中古で安く買えたので入手した。
ワルターの指揮するマーラーの4交は1945年のハルバン盤がセッション録音で一番古く、他にライブ録音が何種類もある。1945年であの音質だから、1960年のシュヴァルツコップ盤ならきっと素晴らしいに違いないと思ったのだが、1960年の録音としては明らかに水準以下で期待外れだった。同年のNHKの立体音楽堂なんかは素晴らしい録音なのに、そのレベルには全然達していないということ。ムジークフェラインの響きが感じられない。むしろ1945年のハルバン盤のほうが良く聴こえる。しまった、最新リマスターのALTUS盤(下左)を買うべきだったか、と思ったのだが、レビューを読んでみると、五十歩百歩で大差はないようだ。もともとパッとしない録音らしい。実演はたいへん感動的だったと思われる。
ただし、4楽章のシュヴァルツコップの歌唱は冒頭歌い出しで声があまりうまく出ていない。生前、シュヴァルツコップは録音の正規発売を許可しなかったらしいが、うなずける(海賊盤は出ていた)。翌年のクレンペラー指揮のセッション録音(EMI正規盤)では素人の小生でも記憶に残る名唱が聴ける。
by yoshisugimoto
| 2022-08-29 23:12
| クラシック音楽CD
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