ムード・テナーのサム・テイラー
2022年 07月 29日
イージーリスニングというジャンルは軽く見られているというか、馬鹿にされている。イージーリスニング音楽のファンというのは一定数いるのだが、異端扱いされているのが実情だ。たしかに昔流行ったポール・モーリアとかリチャード・クレーダーマンとかは、今となっては音楽としてつまらなく、魅力薄だ。申し訳ないが、こういうのが好みだと言われたら引いてしまう。
ジャズでもイージーリスニングに進出した人はいる。一番有名なのがウェス・モンゴメリーで、ドン・セベスキー編曲のCTI録音は極めて完成度が高いと思う。しかし、コアなジャズファンはウェス・モンゴメリーのイージーリスニング・ジャズを正面切って語ろうとはしない。偏見があるわけだ。
ムード・テナーのサム・テイラーもジャズファンからジャズ扱いされない典型例だが、もともとジャズマンで、「ハーレム・ノクターン」のテナーサックス演奏で有名になった人。昭和の時代、サム・テイラーの日本での活躍は目覚しく、民謡から古賀メロディーまで吹きまくり、日本ではムード歌謡には欠かせないテナーサックス演奏者となった。家庭向きというよりは大概は喫茶店やバーなどの雰囲気を演出する業務用BGMとして人気が出たようだ。
サム・テイラーの録音はとにかく昭和を感じさせるサウンド。その頽廃的な味わいはどうしても昔の盛り場を連想してしまうが、たまに聴くのも乙なものである。
by yoshisugimoto
| 2022-07-29 17:22
| ジャズ
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