トスカニーニのラストコンサート
2021年 01月 05日
トスカニーニは極度の近眼であったために、常に暗譜で指揮をしていたが、1954年4月4日、ついにその記憶に問題を生じ、指揮棒を置くこととなる。タンホイザー序曲の途中でトスカニーニは記憶を失い、一時指揮を止めてしまう。その後、記憶をなんとか取り戻し、最後まで演奏したが、この演奏会を最後に引退を決意する。CDではこの箇所は編集でうまくつないである。しかし、そういう事情を知っていても知らなくても、圧倒的な名演に聴こえる。オケがかえって必死だったからかもしれない。1954年の最初期のステレオであるということもこの音源の素晴らしいところだ。もちろん音質は安定しないが、それもかえって感動的。タンホイザー序曲を思い浮かべると、当方の頭の中で鳴り響くのはまずこの演奏だ。バッカナールも演奏するパリ版で、カスタネットの緊迫感がたまらない。
ワーグナー:楽劇『ローエングリン』~第1幕前奏曲、
楽劇『ジークフリート』~森の囁き、
楽劇『神々の黄昏』~ジークフリートのラインへの旅、
歌劇『タンホイザー』~序曲とバッカナール、
楽劇『マイスタージンガー』~第1幕前奏曲
【演奏】
トスカニーニ指揮
NBC交響楽団
【録音】
1954年4月4日カーネギーホール・ライヴ、ステレオ録音
yoshisugimotoさん
あけましておめでとうございます。今年も楽しい記事を楽しみにしています。さて「タンホイザー」の件で一言。
私もこれをLPで聞いた当初は、演奏の途中で中断したとばかり思っていたのですが、実際はそうではなく、危険を感じた放送局が「ラジオ放送を中断した」ということのようです。
そのラジオ放送のエアチェック音源もCD化されているそうですが、このステレオ盤は現場でのライヴ録音で、中断なく演奏されたものを無編集で収めたもののようです。
この放送の中断は調整室で演奏を見守っていたカンテルリの指示だったようです。
あけましておめでとうございます。今年も楽しい記事を楽しみにしています。さて「タンホイザー」の件で一言。
私もこれをLPで聞いた当初は、演奏の途中で中断したとばかり思っていたのですが、実際はそうではなく、危険を感じた放送局が「ラジオ放送を中断した」ということのようです。
そのラジオ放送のエアチェック音源もCD化されているそうですが、このステレオ盤は現場でのライヴ録音で、中断なく演奏されたものを無編集で収めたもののようです。
この放送の中断は調整室で演奏を見守っていたカンテルリの指示だったようです。
0
Commented
by
yoshisugimoto at 2021-01-11 09:24
さすが愛弟子カンテルリ、師匠が「やばい」と察知したというわけですね。
by yoshisugimoto
| 2021-01-05 22:28
| クラシック音楽CD
|
Comments(2)