ジンマンの全集

ジンマンの全集はたしかに感動的という言葉は当たらない。しかし、「いとおかし」で楽しめる演奏なのだ。録音はいいし、楽器の鳴らし方、アクセントのつけ方はピカイチだ。とにかくセンスがいいのである。これを「せかせかしてつまらない演奏」と感じるのなら、聴き手のセンスが悪い、と言わせてもらおう。感動的な演奏の代表格はバイロイトの第九だろうか。フィナーレは超高速で突っ込む。しかし、あんな演出を今さら「感動的」と言われるとドン引きである。今日のベートーヴェンはむしろスリルと楽しさがキモなのではないか。

さてジンマンの全集がＨＭＶで、中古７７０円で売られていた。一時期売れたので、中古の在庫は潤沢ということだろう。ＨＭＶはコンビニで受け取ると送料がかからないので７７０円ポッキリ。ずっしり重みのある５枚組ボックスが届いた。これが７７０円とは。手持ちに２枚あるが、ダブっても全集を買い直すほうが安い！小生の若い頃なら１０倍の７７００円でも安いと思ったものだ。たとえば朝比奈・新日本フィルの全集を１万何千円で嬉々として買ったのだが、隔世の感がある。クラシックのＣＤは売ってもタダ同然が改めてうなずける。