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録音を聴く

クラシック音楽とジャズとオーディオと歴史映画のブログ [杉本良明]


by yoshisugimoto

モノラルの優位性

1970年代の日本オーディオの全盛期、当時のオーディオ界には、二大巨頭と称された重鎮がおられた。高城重躬氏と加藤秀夫氏。小生が高校生のころ雑誌に登場されていたことを覚えている。高城さんは雑誌に書いておられたし、著書もあるので、よく存じているが、加藤さんはよく知らない。自ら精密工作機械を駆使して、カートリッジから、ターンテーブル、ホーンスピーカーまでシステムすべてを自作し、製品はいずれも市場の製品をはるかに凌駕する高性能だったとのこと。終生、モノラル再生で、独自のモノラル再生の優位性を主張されたようだ。

ネットから画像をかき集めてみたがわずか4枚。
モノラルの優位性_b0109511_11015299.jpgモノラルの優位性_b0109511_11015256.jpgモノラルの優位性_b0109511_11015291.jpg
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さて、そのモノラル再生の優位性とは何だったか。今となっては詳しく知る由もないが、想像するに音像定位ではないかと思う。もちろん左右に分散する定位はステレオでないと無理だが、正面中央に定位すればいい、というならモノラルが有利のはず。たとえばヴォーカルのソロ、ヴァイオリンやチェロのソロはむしろ昔のモノラル録音が好印象だ。スピーカーがマルチアンプのマルチウェイだと、左右一対のいくつもユニットの音を空間合成することになるが、これでは正確な再生は無理だ。しかし、モノラルだと各ユニットの空間合成はステレオより遥かに有利に違いない。その意味で音質の追求に向いていると言えるのではないか。「左右に分散する定位」をさっぱりと諦めれば、それなりのメリットが出て来そうだ。

高城さんの装置はマルチアンプでマルチウェイのオールホーンシステム。過渡応答に関しては最上に違いないが、ステレオの定位に関しては不利だ。コアキシャルのタンノイ(オートグラフ)を使っていた五味さんが「音像定位が茫洋としている」と批判したものだった。高城さんはとにかく楽譜に書かれた音がすべて聴こえることが大切、定位はだいたいで良かったようだ。加藤さんも同じくマルチアンプでマルチウェイのオールホーンシステム。高城さんとはまた違ったアップローチで、ステレオだと定位に問題が出るのだが、開き直ってモノラルだから関係ない、ということではないかと思う。

「奥行き」は基本マイクからの距離間を忠実に再現できればいいのだと考える。経験的に「奥行き」はモノラルでもステレオと変わらず出るものだ。「音質」が向上して奥行がうまく再生できるようになると、再生音が左右に分散しなくても十分満足できるものである。加藤さんの装置はこの「奥行き」の再生に優れていたに違いない。

これまた重鎮だった池田圭氏は「モノラルが好き」と常々言っていたそうだが、定位に優位性がある、と言いたかったのではないか。その意味で小生もモノラルは大好きだ。ただモノラル録音をモノラルで聴くのは大好きだが、ステレオ録音の左右をミックスしてモノラル再生しようとまでは思わない。ステレオ録音はステレオ録音として聴くべきだ。録音エンジニアが音源に込めた思いを受け取るには、ステレオ録音をモノラル再生していては絶望的だからである。
Commented by 杉ちゃん at 2020-07-13 15:13 x
高城重躬氏・加藤秀夫氏より少し若いですが、江川三郎氏もモノラルの優位性を語ってましたね
・・・で、ステレオ再生にSPを左右くっ付けて、少し外側に向けて音を出す。「逆オルソン」方式
なるステレオ⇒モノラル再生を推奨されてました。
まあ、考えてみれば、ホールで聴く聴衆はホール全体が巨大なモノラルSPで聴いてる訳ですから
レコードに左右振り分けられた音をSPで空間合成するのは無理と言うのも理解できます。(笑)

Commented by yoshisugimoto at 2020-07-13 15:36
昔は点音源スピーカーにいいのがなかったですからね。ダイヤトーンP610かはたまたアルテックの604Eか。今は結構いいコアキシャルがたくさんあります。KEFとかエラックとか。昔のマルチウェイでへんちくりんなステレオにするくらいなら逆オルソンはひとつのやり方だったと思います。
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by yoshisugimoto | 2020-07-12 11:00 | オーディオ | Comments(2)