菅野vs長岡
2018年 10月 20日

この『新レコード演奏家論』は10年前に入手したもの。ひとことで言うと、「演奏する空間と再生する空間は異なるのだから、原音再生はありえない。それぞれが自分のイメージで音源を能動的に再構成している。それがオーディオだ」ということ。書いてあることは至極当然のことだが、このように整理しなおした本は、オーディオ・マニア各位の日ごろの思いを代弁したものであったと思われる。
ただ、年上の長岡さんと菅野さんは全くタイプが違った。長岡さんは、もっとオーディオを軽く握っていた。オーディオは娯楽、要は好きな音を好きに再生すればよい。大音量のジャンボ・チェンバロもありだ、なんて平気で書いていた。たかがオーディオじゃないか、というコメントも随所に見られたものである。もちろん真摯にオーディオに取り組まれていたのだが、こうして客観視するバランス力も持ち合わせていたわけだ。
これに対して、菅野さんはあくまで『オーディオ道』、すなわちオーディオは人生そのものであり、生きがいであった。長岡さんの軽さは許容できないものであったに違いない。
1973年版『ステレオのすべて』で長岡さん、瀬川さん、菅野さんの3人がコンポーネントの試聴で一緒になった記事があった。長岡さんの軽さに対して、菅野さんが『あなたにとってオーディオとは何なの』と迫ったことがあった。当時みなさんお若く血気さかんだったこともあるのだろう。
以降、長岡さんと菅野さんが一緒になることはほとんどなかったように思う。お互いの路線をすみ分けたようだ。長岡さんの訪問記事は、「オーディオ・クリニック」という形で、改善の結果を都度はっきり出していた。これに対し、菅野さんは音を聴いて対談して引き上げるだけ。どちらがいい悪いではなく、スタイルの違いとしか言いようがない。
菅野さんの真骨頂は録音家としてだと思う。評論家としては結構どうでもいい抽象論も多く、そんな「ごたく」を並べなくてもオーディオはできるよ、と感じたことも多々ある。具体的なハウツーを開示せず、小生にとってはあまり参考にならない評論家だった。個人的には具体的なハウツーてんこ盛りだった長岡さんのほうに親しみを感じる。菅野さんは先達として一目置く、こんな感じだ。

長岡さんが亡くなられたとき、世間では水と油のように思われているが、先輩の長岡さんとは気が合ったと書いておられたので驚いた記憶があります。
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何か外交辞令のような気もします。故人をコメントするのに何もことを荒立てる必要はありませんから。『長岡鉄男の日本オーディオ史 1950~1982』は労作だと持ち上げておられましたが、これは本音と思います。

長岡さんは、オーディオ機器の性能を「重さ」で測ったり、海外製には「辛口の」批評を述べたり
それも、青筋立てたような言い方でなくユーモアで買いてるあたりコント作家出身だけにしゃれてた。
対する菅野さんは「オーディオ命っ!」的な気持ちをつねずねもたれていて、オーディオ芸術論とか
レコード演奏家と言う様な、崇高の思いであったと思われる。やはり「水と油」だったでしょう(笑)
・・・菅野さんと確か7つ違いの桝谷さんはメーカー製は全てダメだと過激な発言で自社製品のみ真
実の音がすると言って敵も多かったですね。
それも、青筋立てたような言い方でなくユーモアで買いてるあたりコント作家出身だけにしゃれてた。
対する菅野さんは「オーディオ命っ!」的な気持ちをつねずねもたれていて、オーディオ芸術論とか
レコード演奏家と言う様な、崇高の思いであったと思われる。やはり「水と油」だったでしょう(笑)
・・・菅野さんと確か7つ違いの桝谷さんはメーカー製は全てダメだと過激な発言で自社製品のみ真
実の音がすると言って敵も多かったですね。
菅野さんは、本人は意図的でなかったにせよ、結果的には格好つけた感じはありましたね。オーディオはハイエンド一筋、センス良く着こなしてポルシェを駆るというような。文体も格好づけが絶妙。そうしたありようは文句のつけようがないが、親しみは感じませんでした。
菅野さんも長岡さんもオーディオ業界に貢献大だったと思います。桝谷のオッサンは変人で、オーディオ業界に背を向けていました。オーディオマニアが口をききたくないほどイヤな奴ばかりだというのなら、最初からかかわらなければいいのです。

ス・スミマセン(汗)”””、桝谷のおっさんを出したのは、長岡さんと享年が1年違いだったので
思わず書いちゃいました。
あと、菅野さんと人気を2分してた山中敬三さんも菅野美学に通じる方でしたねぇ~。メーカーサイド
に媚を売らず良い製品を紹介してたら自然に高級製品になっていたというのが、山中さんの哲学たったと
思います。何より褒めた製品は実際に購入した物で、その批評には信頼がおける記事でしたね。
ちなみに山中さん73歳、長岡さん74歳、菅野さん84歳と、菅野さんが一番長寿でした。
思わず書いちゃいました。
あと、菅野さんと人気を2分してた山中敬三さんも菅野美学に通じる方でしたねぇ~。メーカーサイド
に媚を売らず良い製品を紹介してたら自然に高級製品になっていたというのが、山中さんの哲学たったと
思います。何より褒めた製品は実際に購入した物で、その批評には信頼がおける記事でしたね。
ちなみに山中さん73歳、長岡さん74歳、菅野さん84歳と、菅野さんが一番長寿でした。
by yoshisugimoto
| 2018-10-20 12:26
| オーディオ
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Comments(6)