シベリウスのヴァイオリン協奏曲オリジナル版（1903/4）

シベリウスのヴァイオリン協奏曲には、現行版（1905）とは異なるオリジナル版（1903/4）が存在する。シベリウスの遺志を汲んで、初演以来公開を許さなかった“幻”のオリジナル版を、遺族との長い交渉のすえ、録音にこぎつけたとのこと。現行版はちょっと聴き過ぎて、最近は右から左に抜けてしまう。オリジナル版は新鮮だ。原典版よりよほど聴きどころが多い感じがする。

この音源は以前話題になって入手したが、当時は装置の音が貧弱で、この録音の真価が理解できなかった。久々に聴いたが、素晴らしい曲と素晴らしい録音。こんなに遠近感が出る録音は知らない。Dレンジも極めて大きい。トゥッティで爆発する。録音はシベリウスのヴァイオリン協奏曲最高の１枚と思う。新しい録音の印象なのだが、すでに３０年近く前の収録と知ってさらに驚いている。ハイレゾに迫る音に聴こえる。

＜収録曲＞
1. ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47（1903/04年オリジナル版）
2. ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47（1905年現行版）

レオニダス・カヴァコス（ ヴァイオリン）
オスモ・ヴァンスカ（指揮）、ラハティ交響楽団
録音：1990年11月、1991年1月　ラハティ聖十字架教会