プラスツィーターは今は昔
2017年 06月 09日

昔は自作オーディオ入門というと、P610に代表される六インチ半、つまり16センチフルレンジが主流だった。高音も低音もほどほどに伸びていてバランスが良いというのがその理由だ。昔のオーディオ雑誌の自作記事には、フルレンジにコンデンサーでツィーターを追加するという内容が必ずあった。これはロクハン全盛の昔の話である。
ところが今はデジタル時代。CDをかけてもコーンはふらつかない。小口径スピーカーでも結構音量が出せる。加えて、昨今の小口径フルレンジは分割振動はともかく、非可聴領域まで十分に伸びている。ツィーターを追加するくらいなら、ツィーター不要の小口径フルレンジを使えばいいわけだ。音場再生、ステージ感の再生も小口径スピーカーが断然有利である。
昔、池田圭というオーディオの先達がおられて、何かというとツィーターで高音を伸ばす風潮に、「ハイへハイへと草木もなびくよ、HiFi居よいか住みよいか、と言いたくなる」と書いておられた。ハイだけ伸ばしてもダメなのだ。
またツィーターを追加するくらいなら、大容量コイルでフルレンジを追加したほうがよほどいいと思う。概して小口径フルレンジの自作スピーカーは低音の量感不足のスケールの小さい音と考えられるからだ。昔は10mHといった大容量コイルはどこにも売っていなかった。しかし、いまではアマゾンで簡単に入手できる。
我が家では量感を増やすのにフルレンジのプラスウーファーを使っている。市販のサブウーファーを使えばいいやん、と思われるかもしれないが、あれは音が重くてダメだ。フルレンジのプラスウーファーでは超低音がカバーできないので、我が家ではさらに長岡式ASWを追加している。ダブル・スーパー・ウーファーである。
小口径フルレンジでも量感と超低音を補ってやるとまことに堂々たる音なのだ。B&Wといったメーカー製も似た感じになってきている。今はむしろこちらが王道と思う。大口径ウーファーとホーンドライバーで構成したような伝統的なマルチウェイスピーカーは今となってはいろいろ難しいと言わざるを得ない。
by yoshisugimoto
| 2017-06-09 07:58
| オーディオ
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