ウェスタン・エレクトリック・サウンド・リスニング
2015年 01月 17日

ウェスタンのスピーカーはアンプ出力が小さかったころの映画館音響装置のソリューションである。このソリューションは家庭向きでもなければ、量産向きでもなかった。したがって、アンプ出力が確保できるにしたがって廃れてしまった。しかし、今もって高能率の方式には独特の味わいがあり、侮れない、ということなのだろう。だから80年前の音に、歪は多くても驚嘆することになる。

同じホーンを使っていてもJBLやタンノイなんかは低音が、重いウーファーであり、性格が違う。特に低音が軽いのがウェスタンの持ち味である。池田氏は、「オートグラフを聴いても、下駄箱が鳴っているようにしか感じない」と書いておられた。これは低音の重さを批判していると思われる。私も重い38cmウーファーは評価しない。
低音の軽さで言えば、以前使っていた20cm二発のバックロードホーンはウェスタンに近い。小口径ウーファーと駆動力の高いアンプでも、軽い低音には割と肉薄できるが、高能率ではないので、音離れや立ち上がりが何か違う感じがする。たとえばLPのスクラッチノイズを聴いても、プツとパチの違いがある。
やはり、多少歪があっても、高能率・高感度がウェスタンの魅力であると思う。私も可能な限り高能率なスピーカーを使いたい。歪は多く、余計な音もずいぶん出ていたに違いないが、個人的には未だに20cm二発のバックロードホーンの音が忘れられないでいる。ウェスタンも方向性は同じである。
しかし、高能率というのは、とにかくホーン開口を含めた実効的振動面積が大きいことを意味する。巨大化するので、幅も奥行きも取る。それは一般家庭用ではなかなか難しいことである。
最後にひと言。ウェスタンはオーディオ機器であると同時に骨董品でもある。取引される値段が並みのオーディオと一桁違う。Youtubeでなんでも鑑定団ウェスタン篇を発見した。
ま、私などはウェスタン道楽と今後とも縁がないだろうから、これぐらいにしておこう。
by yoshisugimoto
| 2015-01-17 09:35
| オーディオ
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