ヴィンテージスピーカーVol.1
2013年 12月 22日

現代スピーカーはさすがにこの時代に比べると進化している。当時はステージ感という発想自体がなかったと思う。有ったとしても、大型スピーカーをサランネットで覆って、心理的にステージ感を出していたように思う。だからどのスピーカーもバッフルの幅が大きい。バッフルの幅が極小になるのは90年代を待たなくてはならない。
当時は巨艦巨砲主義とでも言えばいいのだろうか、PAスピーカーやモニタースピーカーはほとんどが38cmウーファーを搭載していた。しかし、38cmウーファーは中音の質がよくないし、低音もそう下まで伸びでいるわけではない。PA用でもない限り、一般家庭用としては中途半端だ。それに38cmウーファーを使うとどうしてもバッフルの幅が大きくなって、音場感が悪くなる。38cmウーファーは悪いこと尽くめというのが筆者の意見である。
この時期、大型でなければARに代表されるエアサスが大流行、一方755EやLE8Tなどのフルレンジを入れたエンクロージャーといった半完成品志向もあった。今でも自宅で使えそうとか、使ってみたいという商品はさすがにほとんどない。
少数の例外が、わたし的にはこれである。コーラルのBL25にベータ10を搭載したもので、5万しなかったはずだ。当時この機種がほとんど評価されなかったのは解せない。

(前略)ところが正月の休み明け、広告でBeta10用のバックロード・ホーン、BL25の存在を知り、急いでコーラルから、BL25を取りよせてみた。
チック・コリアのソロ・ピアノアルバムを聴いてみたが、Beta10がそのすさまじいまでの迫力を、中高域から低域にまで拡げたことをその時知ったのだった。それはまさにジャズ・ピアノのサウンドである。チック・コリアのちみつにして繊細流麗なタッチ、しかも左手のきらびやかな中に秘めた力強い迫力を、BL25に収まったBeta10はみごとに再生してくれた。
国産スピーカーと外国製のそれとくらべるまでもなく、国産オーディオ・パーツにはどうもベテラン・マニアを納得させる魅力をもった製品が少ない。国産パーツの優秀性はいやというほど知らされているのに、その中に魅力らしい魅力のない歯がゆさをいつも感じ僕。コーラルはその不満を解消してくれたまれな国産パーツだ。おそらく、この手間のかかる手造りのバックロード・ホーンはあまり商売にプラスをもたらすとは思えないが、これほど魅力に満ちた製品がまた日本市場に出ることを知って嬉しいのである。
このBL25が、Beta10が今後も永く市場に残ることを願い、それをよく認識するマニアの少しでも多からんことを願うのである。
スイングジャーナル 7月号(1972年6月発行)
「SJ選定 ベスト・バイ・ステレオ」より
1972年と言えば筆者が中2のころだ。40年以上も前ということになるが、今でも十分に通用するに違いない。驚くべき先進性を持った製品だったと言える。
また、当時としては高かったが、この機種も良さそうだ。2S305の民生機の2S305Dである。


初めまして。
初めてブログに遊びに来させてもらいました。
アメリカロサンゼルスを中心にヴィンテージオーディオシステムを
取り扱っているビジネスをしている者です。
杉本さんのブログが興味深かったので、拝見させてもらいました。
また、ブログ読むさせて頂きます。
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書き込みありがとうございました。
by yoshisugimoto
| 2013-12-22 13:20
| オーディオ
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Comments(2)