ニアフィールドリスニングの快楽 (SS選書)
2013年 11月 16日
著者和田博巳氏はちょうど私より10年学年が上だ。オーディオ評論家第一世代は長岡さん・菅野さんなど自分の親の世代だから、ルーツはSPの時代まで遡る。終戦後どうの、という話はそんなに体で理解できるわけではない。しかし、和田さんは私からすれば、兄貴分の世代なので、書かれていることはおおむね想像がつく。
比較的近年まで狭い部屋・安価な装置でやってこられてるので、私とも共通点があって共感できる。聴かれる音楽はジャズ・ロック主体で、私とは異なるが、私もジャズは聴きだして35年になるので、接点は大いにある。
繰り返し書かれていたのは、もう世の中は広いリスニングルームに大型スピーカーを鎮座させる時代ではないよ、ということ。もちろん、趣味の世界だから、広いリスニングルームと大型スピーカーを愛好するのは自由だ。また大型スピーカーならではのドスの効いた立ち上がりのよい音は今もって魅力的ではある。
小型スピーカーは近づいて聴いてもステージ感は出るし、近づいて聴くほうが繊細微妙な音を聴き取るには有利である。その極端な例はヘッドフォンだ。空気の層は情報量を減衰させるのである。しかし、ヘッドフォンでは音像が頭の中にできてしまう。やはりSPでないとステージ感は出ないのだ。
たとえば下の有名な大型モニターをイメージしてみられるといい。広い部屋で聴く大型スピーカーは、近くだと団子になってステージ感が出ない。遠くだと細かい音が聴き取れない。バッフルの大きいスピーカーが面で迫る音というのは、いずれにしても大味なのだ。録音現場でもこんな大型モニターは今日あまり使われないそうである。そう考えると、広いリスニングルームと大型スピーカーは今となってはそんなに良くもないし、うらやましくもないということだ。
結局音楽が好きでたまらない、という人がオーディオでいい音を出す、とも書かれていたが、これも全面的に同感である。一言で言うとLP・CDが多い人で、生演奏も頻繁に聴いている人がいい音を出すと言うこと。でもその逆の人はどうしてもオーディオ的快感を追求した音になってしまう。もちろん例外はある。
ところで、オーディオ評論家になるのはなかなか大変だ。一般マニアなら同じ機器を永年使って何の問題もない。しかし、評論家なら新しい機器の試聴を続ける結果、割と頻繁に機器をアップデート(もちろんグレードアップ)することになる。和田さんはいつもローンを組んで清水の舞台から飛び降りているが、これはちょっと真似したくない。個人的には、借金してまで消費財を買おうという気にはとてもなれないからだ。
でも気に入った新製品を見ると血が騒ぐのは私だって同じだ。和田さんの環境は交友を含めて誘惑が多すぎるのだと思う。
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横浜のvafan
at 2013-11-17 08:54
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ご無沙汰しています。
和田さんの本、図書館で借りられるのですか。これ自体も驚きです。
私もニア(2m以内)で楽しんでいますし、今後もおそらく変わらない
と思います。yoshisugimotoさんの3mは私にとっては十分far
ですが、おそらく後ろ壁との距離の配分の違いと想像します。
ステージ感と細かい音の両立と書かれていて、成るほどと
思った次第です。
和田さんの本、図書館で借りられるのですか。これ自体も驚きです。
私もニア(2m以内)で楽しんでいますし、今後もおそらく変わらない
と思います。yoshisugimotoさんの3mは私にとっては十分far
ですが、おそらく後ろ壁との距離の配分の違いと想像します。
ステージ感と細かい音の両立と書かれていて、成るほどと
思った次第です。
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yoshisugimoto at 2013-11-17 09:14
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杉ちゃん
at 2017-05-31 17:17
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ニァーリスニング私も賛成です。拙宅も長辺にシステムを置き
2mくらいのニァーリスニングで聴いております。
これって、故、瀬川冬樹さんも、JBLの4343だったか、
大型SPをニァーリスニングで聴いていたような記事がありました。
2mくらいのニァーリスニングで聴いております。
これって、故、瀬川冬樹さんも、JBLの4343だったか、
大型SPをニァーリスニングで聴いていたような記事がありました。
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yoshisugimoto at 2017-06-01 19:16
4343でニアフィールドはどうですかね(笑)人好き好きですけど( ^ω^)・・・
by yoshisugimoto
| 2013-11-16 20:38
| オーディオ
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Comments(4)