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録音を聴く

クラシック音楽とジャズとオーディオと歴史映画のブログ [杉本良明]


by yoshisugimoto

大阪ハイエンドオーディオショー

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例年の大阪ハイエンドオーディオショーに行ってきた。ハイエンドとはいうが、結局、これがオーディオ業界のすべてだ。ハイエンド以外はいわゆるコモディティでオーディオというカテゴリーに含めるほどではないと思われる。家電かPCだろう。昔からすればずいぶん業界が縮んでしまった。筆者が学生だった70年代は、大手家電メーカーはすべてオーディオブランドを持ち、テレビでステレオの宣伝がバンバン流れていた。それからすると隔世の感がある。来場者も中高年オタクばっかりだ。

展示はホテルでやっている。比較的大きなメーカーやディーラーはホールで、中小メーカーやディーラーは客室である。後者はだだっ広い会場では閑古鳥が鳴くだろうし、実状にマッチしたやりかただと思う。当然、客室の音響条件は良くない。しかし、これも狭い部屋でオーディオを楽しんでいる大多数のユーザーにはむしろ参考になるだろう。

この20年で、光ディスク系・PCを含めてのフロントエンドは見るべき進歩があったと思う。しかし、アンプ・スピーカーは大差ない。むしろ、昔のほうが個性的な製品が多かった。だからといって、オーディオ機器の出来が悪いというつもりはない。機器はいずれもけっこうなポテンシャルを持つものである。高級な機器を高級ケーブルでつなげば、中高音はそれなりのクオリティで鳴る。結局、それをもって機器の持つ可能性を推測するしかない。

さて、鳴っている音だが、概して感心しない。単に接続して音を出しているだけなので、いわゆる教養やセンスを感じさせる音ではない。ジャズはまだしもクラシックはいただけない。しかし、そこは優秀録音のソースでカバーしている。しかし、筆者のようにモノラルを含めて古い録音が主体のリスナーとすれば、あまり参考にならない。

CDやSACDは概して中高音が勝った腰高な音だ。これをあの手この手でカバーして、生の音の持つバランスに仕上げていくのがマニアの腕の見せ所だと思う。その意味では展示場の音はみんな半製品なのだ。音はともかく、存在感を示して、購買意欲を刺激するのがショーの目的だから、これでいいし、こうしかできないだろう。

しかし、いかに購買意欲を刺激したところで、対象は中高年のマニア(筆者も含めて)なので、この世代が高齢化するに連れて、市場も縮んでいくに違いない。そう考えると現状の展示にも愛惜を感じるのである。メーカー・ディーラーの皆さんの健闘を祈りたい。
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by yoshisugimoto | 2012-11-11 07:58 | オーディオ | Comments(0)