癖のあるケーブルで積極的に音をつくるべし
2012年 01月 17日
ケーブルは不思議なことにどれも固有の音を持つ。絶縁体の材質や形状が音に乗るし、導体の材質で音は違う。つなぎかえればたちどころに違いがわかるものだ。世間一般には音に癖のないケーブルが高忠実伝送でハイファイだと考えられている。それは高価なオーディオケーブルを告発しているこのサイトでも同じようだ。
しかし、私の考え方は異なる。癖だらけの工業用ケーブルを使いこなすのがむしろ面白い。要は自分の好みの音になればそれで良いのだ。いいケーブルとは人それぞれだと考える。
私は電源ケーブルとスピーカーケーブルは太いものを使う主義で、しかも同じものを使う。それが富士電線のラバロンと呼ばれる商品である。シース(被服)が柔らかくで曲がりやすいのが特徴。価格は5.5スケの2心でメーター300円ほどだ。
このケーブルはシースの材質が音に乗って、ボケボケのゆるい音を出す。そして太い電線の効果で低音が肥大している感じがある。その意味ではたいへん癖のあるケーブルだ。
しかし、毒も使い方で薬になる。ボケボケのゆるい音のお陰で、ソリッドステートアンプの硬い音が管球アンプ的な柔らかい音に変わってしまうのだ。しかも、低音が肥大するので、究極のオケ向きの厚みが出せる。今となっては、このケーブルに対して一種の信仰を持っている。
そんなわけで、市販のオーディオケーブルはどれも音がきつくてダメだ、と思っている。オーディオ用と銘打って販売するなら、癖のないケーブルであるはずで、これは私のニーズと合わない。オーディオケーブルは高い製品ほどなんのシンパシーもない。ばか高いケーブルは、
「いくらなんでもな」
とむしろ反感すらこみ上げてくる。当然オーディオ雑誌のケーブルの試聴記は私には意味がない。だから全く読まない。これまで記事を読んでいいケーブルに当たった経験は皆無といってよい。そのそもニーズが違うのだから。
故長岡さんは一貫して5.5スケの被服の硬いキャブタイヤケーブルを推奨した。なぜか。それはキャブタイヤの癖がフルレンジに合う、ということもあったと思う。
「市販のケーブルはチリチリした音がする」
と言うのみで、あまり多くを語らなかった。故上杉さんにいたっては、最もぱっとしない音を出すケーブルが最もいいケーブルと書いていたが、私もほぼ同意見である。違うのは癖のあるケーブルで積極的に音をつくるべし、と考えていることである。
by yoshisugimoto
| 2012-01-17 21:35
| オーディオ
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