シャイーのマタイ

このCDはマタイにしては珍しく2枚でまとまっている。無伴奏ヴァイオリンやチェロ、ロ単調ミサ曲と同じ気軽さでマタイが聴けるのは鑑賞に圧倒的に便利だ。テンポは速く、軽くサクサクと進行するが、今時これくらいでないともたれてしまう。メンゲルベルグと対極の表現だが、大変高く評価したい。軽い分だけ神々しさは表現されやすい。それに輪をかけるのが、透明感あふれる最新録音だ。ホールがよく見渡せる。最近買ったなかではピカ一のCDで、何度も繰り返し聴きたいと思わせる魅力にあふれている。

・J.S.バッハ：マタイ受難曲 BWV244
　ヨハネス・クム（テノール：福音史家）
　ハンノ・ミュラー＝ブラッハマン（バス：イエス）
　クリスティーナ・ラントシャマー（ソプラノ）
　マリー＝クロード・シャピュイ（アルト）
　マクシミリアン・シュミット（テノール）
　トーマス・クヴァストホフ（バス）
　クラウス・ヘーガー（バス：ピラト、ペテロ、ユダ）
　テルツ少年合唱団
　ゲルハルト・シュミット＝ガーデン（合唱指揮）
　ライプツィヒ聖トーマス教会合唱団
　ゲオルク・クリストフ・ビラー（合唱指揮）
　ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
　リッカルド・シャイー（指揮）

　録音時期：2009年4月2-3日
　録音場所：ライプツィヒ、ゲヴァントハウス
　録音方式：デジタル（ライヴ）